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『言の葉の庭』小説版を聴きながら新宿御苑を闊歩するという最高の聖地巡礼をしてきた【Audible】
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『言の葉の庭』が好きだ。
33歳になった今でも、
雨の日には仕事をサボって新宿御苑に行くことを妄想している。
そんな人間だ。
「三十三歳の私は、十五歳の頃の私よりすこしも賢くない。」
前半部分の数字に自分の年齢を入れてみて、
「ユキノさんよりもう6歳も上になったのか」
とセンチメンタルなことを考える自分に酔う。
25歳の私は映画と小説の『言の葉の庭』で15歳のタカオと27歳のユキノさんに出会い、
33歳の私はオーディオブックで再び15歳のタカオと27歳のユキノさんに出会った。
「どうせ聴くなら」と平日に仕事を休み、新宿御苑まで足を伸ばしてみた。
最高の聖地巡礼ができた。
こんなに贅沢な読書体験もないだろうと思った。
そんなお話。
『言の葉の庭』は「心理的安全性獲得」の話
靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。
出典:映画『言の葉の庭』公式HP 作品紹介 ストーリー
ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。
居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。
六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。
『言の葉の庭』は新海誠誠監督のアニメーション映画。
46分と短い作品ながら登場人物の心情描写と情景描写がとても美しく、多くのファンを獲得している作品。
キャッチコピーは『”愛”よりも昔、”孤悲”のものがたり』。
一部からは「気持ち悪い」という声も聞こえるが、
私自身はとても好きな作品である。
しかし、「気持ち悪い」と言いたい気持ちもわからなくはない。
なぜなら『言の葉の庭』は、
徹底的に他者を排した「2人だけの世界」の物語だからだ。
恋愛物でありながら、恋愛物として見ると違和感が出てきてしまう感覚。
私はこの物語を「心理的安全性獲得」の話だと解釈している。
日常の風景の中に、
非日常の演出がふんだんに盛り込まれている。
2人が出会う条件。
雨の日。
午前中。
新宿御苑。
東屋。
夢。
2人だけの特別な空間であり、時間がある。
タカオとユキノは、それぞれの事情で自分が世界の片隅に取り残されてしまったような感覚に陥る。
そして、迷い込んだ世界の片隅に仲間を見つけた感覚。
取り残されてしまったのが自分だけじゃなかった安心感。
2人にとって、そこに癒しがある。
救いがある。
2人にとっては、雨の日の午前中、新宿御苑の東屋が「心理的安全性」を感じる空間になっていったのだ。
キャッチコピーどおり、『”愛”よりも”孤悲”』。
恋愛というよりは、
孤独の悲しみを癒す関係に近いといえる。
2人の空間が特別であればあるほどに、
その2人を眺めている我々観客は
「自分がそこに居てはいけない異物感」
を感じてしまう。
ここに一種の「気持ち悪さ」があるのかもしれない。
また、記号的に「先生と生徒の禁断の恋」的なとらえ方をしてしまった場合も、
「気持ち悪い」という感想になってしまうことは予想できる。
個人的には「先生と生徒」という設定と、
最後には物理的距離ができる設定は上手いと思っている。
この2人の空間は、あまりにも2人にとって特別なものになりすぎるがゆえ、
一歩間違えれば容易に「共依存関係」に陥ってしまう危うさがある。
立場的にも物理的にも距離があることが、
「共依存」という危うい関係にならないよう歯止めをかけてくれているのだ。
そして、
タカオが大人びているとはいえ15歳の青臭いガキであるがゆえに葛藤をユキノにぶつけることができ、
相互作用によって
ユキノも隠していた心の叫びをタカオに吐露することができる。
一回り年上であっても、15歳の少年が思うほど27歳は大人ではない。
少なくとも本人に「自分は立派な大人だ」という自覚はない。
でも、「一回り下の男の子の前では大人でいなきゃ」との思いで自分を支えている。
二十七歳の私は、十五歳の頃の私よりすこしも賢くない。
『小説 言の葉の庭』新海誠著 角川文庫 平成28年2月25日発行-
この「大人になっていない弱い自分」を、
クライマックスのシーンでついに少年にさらけ出す姿、想いを吐露する姿に心が揺さぶられるのだ。
主題歌である秦基博の「Rain」が流れるタイミングも最高で、何度見ても涙してしまう。
これが私にとっての『言の葉の庭』だ。
U-NEXTならトライアル期間に無料で見ることができるので、見たことがない人はぜひ見てみてほしい。
そしてできれば感想を教えてほしい。
あなたはどう感じたのか、この物語から何も見たのか。
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2022年11月追記
『言の葉の庭』がプライムビデオでも見られるようになったぞーー!!
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Audible版『言の葉の庭』を聴きながら新宿御苑を散策
そんな思い入れのある『言の葉の庭』。
実はAmazon Audibleにはオーディオブック版『小説 言の葉の庭』がある。
存在は知っていて聴きたいとは思っていたものの、すでにaudiobook.jpの聴き放題プラン
を楽しんでいる私には、もう一つオーディオブックのサブスクリプションに手を出すのは中々ハードルが高かった。
しかし、5月31日に映画『言の葉の庭』は9回目の公開記念日を迎え、季節は梅雨になった。
次第に高まったきた『言の葉の庭』熱に浮かされ、
久しぶりにYoutubeで予告編を見るともう欲を抑えられなくなり、
Audible会員登録をした。
登録と同時に『言の葉の庭』をダウンロードし、
聴き出そうとした際、ふと脳裏によぎるアイデアがひとつ。
どうせ聴くなら、新宿御苑を歩きながらにすればよくないか?
そんなわけでAudible版『言の葉の庭』を聴きながら、新宿御苑を闊歩してきた。
まず驚いたのが作中では200円だった入園料が500円になっていたこと。
どうやら、2019年に値上げをしていたらしい。(下画像参照)
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/【大臣発表】入園料改定-1024x405.webp)
小銭をほとんど用意していなかったため券売機で入場券を買うことができず、窓口で1万円札を差し出す。
「学生ですか?」
※高校生以上は学生証提示で250円になる。
と聞かれ、「そんなに若く見えるかな」と頬をほころばせながら
「いえ、一般です」と答えるものの、
「大学なら社会人でも入れるもんな」と思い直す。
入場ゲートをくぐり、新宿御苑に入る。
広い。
新宿の街が近いはずなのに広いおかげか一気に静かになる。
さらに緑に囲まれているためか、街に比べて空気が澄んでいる。
空気がおいしい…。
この中で小説版『言の葉の庭』を聴く。
やばい…。
これは、、、
最高すぎるっ!!
平日の昼間に緑に囲まれながら、
一人で『小説 言の葉の庭』を聴きながら新宿御苑を歩く。
日常の中に非日常が入り込み、とっぷりと物語に浸る感覚…。
とても贅沢な時間だ。
かつてない感覚にゾクゾクしながら歩いていくと、あっという間に目的の日本庭園エリアに到着。
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/新宿御苑_日本庭園_ビルと池-461x1024.webp)
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/新宿御苑_日本庭園_池-1024x461.webp)
そしてメインビジュアルとティーザービジュアルになっている東屋、藤棚にたどり着く。
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/『言の葉の庭』キービジュアル-746x1024.webp)
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/『言の葉の庭』東屋.webp)
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/新宿御苑マップ-1024x733.png)
新宿御苑マップより
しかし、である。
東屋の前に何かある…。
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/『言の葉の庭』工事中の東屋-1024x461.webp)
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/06/『言の葉の庭』工事中_集中線.webp)
なんということでしょう…。
最も大事な聖地である東屋は、
老朽化に伴う工事準備中であり、立入禁止
だったのだ。
![](https://torimidorablog.com/wp-content/uploads/2022/05/106_とりみどら_まずい-150x150.webp)
せっかく来たのに…
しかし、、、
リアルタイムで『言の葉の庭』を聴いているとはいえ、
私はあくまでも一観客でしかない。
となれば神聖な聖地「東屋」に踏み込むより、
入りたい想いを抱えつつも入れないもどかしさを抱いている今の状況の方がよりふさわしいともいえる。
・・・。
立入禁止でよかったのかもしれない。
立場をわきまえられてよかった。
まとめ:原作を聴きながらの聖地巡礼は最高すぎる!
聖地である「東屋」に入ることはできなかったとはいえ、
オーディオブックで原作を楽しみながら物語の舞台である新宿御苑内を歩き回るという体験は、
予想をはるかに超えて私の心を満たしてくれた。
そもそもAudible版の『小説 言の葉の庭』の朗読者たちが豪華すぎるのだ。
『小説 言の葉の庭』の朗読者
入野 自由,
花澤 香菜,
前田 剛,
星野 貴紀,
小松 未可子,
平野 文
この名前を見て気づくことはないだろうか。
・・・。
そう!
映画と全く同じ声優陣なのである!
加えて『小説 言の葉の庭』は映画では描かれなかった、
タカオとユキノ以外の登場人物のエピソードまで深く掘り下げている。
タカオのお兄さんの考えていることと彼女との関係性や、
体育教師、相沢とユキノとのエピソードや関係性を知ることができる。
『小説 言の葉の庭』をとおしてから見ると、映画の味わい方も変わってくるのだ。
Audible版ではそれを、
映画の声優陣で映画の雰囲気のまま深掘りしていける贅沢さ…。
想像してほしい。
物語の舞台である新宿御苑の空気を全身で、
眼で、
匂いで、
肌で感じながら、
耳からは豪華な声優陣によるAudible版『小説 言の葉の庭』を楽しむという最高の体験を、、、。
どれほど心を満たしてくれる体験になるか、ご理解いただけただろうと思う。
新宿御苑の入園料500円とAudibleの月額料金1,500円だけでこんな贅沢な体験をできるなんて、実質タダである。
いや、実際Audibleは30日間の無料体験期間があるため、
『小説 言の葉の庭』を聴くだけなら月額料金はかからないから、、、
タダだわ。
これはタダですわ。
たとえ新宿御苑に気軽には行けない地域に住んでいたとしても、
『言の葉の庭』ファンでAudible版を聴かない理由が見つからない。
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せっかく登録したのであれば、
無料期間中に同じく新海誠作品である
・『小説 秒速5センチメートル』
・『小説 君の名は。』
・『小説 天気の子』
も楽しんでおこう。
また、『君の名は。』には『君の名は。 Another Side:Earthbound』というものもあることを発見した。
私自身もまだ聴いていないが、
これは「映画では描かれなかったエピソードを紡ぎあげた、新海誠監督公認のオリジナルストーリー。」らしい。
今から聴くのが楽しみだ。
おっと話がそれてしまった。
とにもかくにも伝えたかったことは、
Audible版『小説 言の葉の庭』を楽しみながら
物語の舞台である新宿御苑内を歩き回るのが最高すぎた
ということだ。
『言の葉の庭』ファン仲間にはぜひとも体験していただきたい。
物理的に難しい人には、
行ける範囲で緑に囲まれた場所に足を運び、Audible版を聴くだけでもいいのでやってみてほしい。
この上なく贅沢な体験ができるから。
私はそれを、同じファンとして知っているから。
\『言の葉の庭』を聴こう! /
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もっとオーディオブックのことを知りたい方は以下の記事を読んでみてね!
オーディオブックの疑問に答える記事の紹介
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